BTI株価が急落しているが、これはチャンスと考える理由

米国上場株の高配当株下落



ブリティッシュアメリカンタバコ(ティッカーBTI)はイギリスに本社を置くタバコ関係の持株会社です。


ブランドは「KENT」「Lucky Strike」などは喫煙者であれば一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。


ただ、ここ最近は年初来安値を連発するなど、株価だけをみるとなんとも冴えない感じを受けます。


今回は高配当でも知られる米国株(正確には英国株のADR)の事をまとめます。








銘柄概要



企業名:ブリティッシュアメリカンタバコ
British American Tobacco p.l.c.)


本社:英国・ロンドン

設立:1902年

時価総額:1,005億USD

従業員数:55,761人

※時価総額、従業員数はSBI証券HPより、その他情報はWikipediaより



損益計算書


※本来は直近4年分を出すのですが、米国の税制改正の影響で2017年度の値はアテにならないので省いています。

数字はMorningstarから取ってます。


年度 2013 2014 2015 2016
売上高 15260 13971 13104 14751
粗利益 12017 10941 10071 11018
粗利率(%) 78.75 78.31 76.85 74.69
営業利益 5571 4653 4591 4653
営業利益率(%) 36.51 33.30 35.04 31.54
税前利益 5799 4848 5855 6245
当期純利益 3904 3115 4290 4648
利益率(%) 25.58 22.30 32.74 31.51

単位は100万$です。

日系の会社では考えられないような高収益体質と言ってしまっていいでしょう。 


タバコは製造方法も確立しており、今回示してませんが売上に占める研究開発費も0.5%前後に留まっており、成熟業態の様相をよく表しています。


貸借対照表(バランスシート)


損益計算書と同じ理由で2017年度のものは省いて示しています。


年度 2013 2014 2015 2016
流動資産 9518 9132 9814 12359
固定資産 17363 17035 21701 27414
流動負債 8436 8769 9006 11856
固定負債 11811 11888 17615 19735
純資産 6634 5510 4894 8182
自己資本比率(%) 35.97 31.67 21.74 29.31

こちらも単位は100万$です。
2017年は税制対策やレイノルズの買収などでさらにワケがわからなくなっているので、見ててもアテにならないかもしれません。

ただし、概ね30%前後で推移ししているところを見ると、今日明日どうにかなるような性質のものではないと言えます。


キャッシュフロー


これはとても面白いので2017年も示します。



単位は100万$で変わりません。


2017年は投資キャッシュフローがとんでもない規模に増え、そのために借入と思われる財務キャッシュフローの値が跳ね上がっています。


これは米国の税制改革やレイノルズ買収によるところが大きく、翌年の税負担を軽減するための措置です。


注目すべきは、そんな状況下においても安定的な営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローです。


タバコはFDAがニコチン量を規制しようとするなど、逆風が吹いているような状況にありますが、それでもタバコは吸う人は吸う、という事を示しているのではないかと考えます。



配当性向


税制改正やレイノルズ買収の関連でやはり2017年は不思議な数字になっています。


2013 2014 2015 2016 2017
調整後EPS 2.04 1.66 2.3 2.49 18.3
一株配当 1.37 1.45 1.49 1.57 1.70
配当性向(%) 67.33 87.65 64.82 62.90 9.26

2017を外して考えると、2014年を除き配当性向は概ね7割弱と言ったところです。


配当性向は低くも無いですが、まだまだ余裕はありそうです。


株価指標

こちらもとても面白いので全部示します。


2015 2016 2017 直近
PER 17.29 19.8 21.94 1.82
PBR 17.8 13.99 14.82 1.22
ROA 14.87 13.04 41.52 -
ROE 82.47 71.09 108.81 -
配当利回り(%) 4.12 3.87 1.98 6.06
自社株買い(%) 0.32 0.07 0.19 0.18
総配当利回り(%) 4.44 3.94 2.17 6.24


PERは概ね17~22くらいに収まっていましたが、直近にPER2以下という目を疑うような数字を示しています。

バランスシートの資産には参考にならないので示しませんでしたが、レイノルズ買収や税制改正の関係もあり資産は2016年比で約3倍になっています。


と言うことは、PBRは3程度までなら落ちても不思議ではないのですが、実際にはその更に4割くらいまで株価は落ちている計算になります。


ここまで株が売られているのにはやはり何か理由がありそうです。



なぜここまで売られているのか



FDAのニコチン規制


昨年になりますが、FDAが紙巻きタバコのニコチン含有量を中毒性のないレベルまで引き下げる計画を発表したことを皮きりに、アルトリアや本銘柄は大きく株価を落としました。


アルトリアはその後株価を回復しましたが、こちらはまだまだ株価回復の兆しは見えません。



ビジネスモデル


アルトリアグループはタバコの傍らワインを売ったりしていますし、日本を見てみるとJTも食品事業も手がけています。


どちらも売り上げ全体に占める割合は高くはなくても、多角化とリスク分散を試みています。


それに比べると、本銘柄の事業はタバコ事業に偏っている感があります。


先ほどのFDAの話にも続きがあり、FDAは加熱式タバコの認可についても待ったをかけています。


そうなるとタバコしかない本銘柄が株価を回復できないのも、ある意味仕方がないと言えます。



EU離脱リスク



上二つの章には異論を唱える方も多いですが、私はこれが一番大きいのではないかと思います。


イギリスに本社を置く本銘柄は、当然ながらイギリスという国のカントリーリスクをモロに受けます。


メイ政権がEUとの交渉を決裂させでもしたら、今まで受けていたEU内での通商上のが移行期間なしに一気に吹っ飛びます。


これがあるから、今ひとつ皆この銘柄を保有したくないのではないか。


タバコだったらアルトリアやフィリップモリスがあるし。


私はそう考えています。



それでも私は保有します



私はアルトリアの株式も持っていますが、本銘柄も引き続き保有しますし、積立の傍ら資金に余裕が出たら買い増しもします。


なぜなら、人間そこまで意志が強くないと考えるからです。


どんなに値上げされようが、そしでどれだけ健康危害が騒がれようが、恐らく吸う人はいつまででも吸い続けると私は予想しています。
(参考までに、愛煙家のサイトを貼っておきます)


それに、これは米国ADR株で、イギリス銘柄は配当金に課税されません。


現時点ではこれだけでも保有する理由になると思います。


それに、業績もまあまあ良いのにこれだけ株価が下がっているということは、それだけ投資家が期待していないという現れかと思いますが、その分もしその期待をこの会社がいい意味で裏切ってくれた場合、リスクを取った投資家は報われます。


直近の配当利回りは6%超、かつ配当性向には余裕があり、財務もそこまでリスキーではなく、かつキャッシュフローも常に潤沢。


これらを根拠に、私はこれは千載一遇のチャンスと捉えていますし、これからも本銘柄への投資を続けます。


まとめ



かなり長きにわたって銘柄を分析してみましたが、いかがだったでしょうか。


最終的にはリスク許容度次第ですが、本銘柄が高配当かつ安定的に株主還元をしてくれている事が伝わってくれれば幸いです。


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