NISAの恒久化は達成されるかを考える

以前別記事でも書きましたが、NISAには3つのラインナップがあり、その全てで投資可能期間が設定されています。

要するに、全て時限性の制度なんですよね。

ただ、金融庁は平成31年税制改正要望として、NISAの恒久化を要望しています。

さて、仮に期限一杯として、NISAをやめてしまうと、どうなってしまうのでしょうか。

今回はこの問題を考えます。




NISA制度の現状


金融庁が公開している2018年6月末のNISA口座の利用状況を見ると、以下の通りです。


口座数 買付額
NISA
(一杯、つみたて)
1197万 14兆5200億円
 一般NISA 1128万 14兆4900億円
 つみたてNISA 69万 300億円
ジュニアNISA 29万 950億円

細かすぎる数字は四捨五入しました。

そして、ジュニアNISAについては買付額は大きくても額の伸びが微妙なので、以後省きます。


一般NISAの買付額


以前別記事で書いたときと比較すると、一般、つみたての口座数は3月末と比べ30万口座増え、買付額は6000億円増えた計算になります。

1口座あたりに直すと、非常に大雑把ですが、一般NISAは3月末時点では127万円に対し、6月末では128万円となっています。

これは統計によると平成26年から30年で買付があった額なので、早い話一般NISA枠を使い切れてない人が大勢いることが読み取れます。


つみたてNISAの買付額


翻ってつみたてNISAを見てみると、3月末では一口座あたり2万円台前半だったものが、6月末では4万円台半ばまできています。

要するに、純粋に倍になってます。

つまり、40万円の枠を使い切れるペースではないが、着実に設定に沿って粛々と投資家が積立を行っていることが伺えます。

もちろん、口座数も増えてますし、新規参入組がものすごい額を積み立てている可能性があるので、単純計算からの推計とお考えください。


NISA投資額は順調に伸びてくる


特につみたてNISAは、その思想に20代から40代までの若い方の関心をつかんでいる傾向がレポートからは読み取れます。

つみたてNISAは限度額も低いし、まだ口座数も少ないですが、機械的に積み上げる方式の強みを活かし、今後着実に伸びてくる可能性があります。

要するに、今の買付額14兆円超が、じわじわと増えてくるのではないか、このように推察します。


このような状態の中で、冒頭の要望が出てきた事の意味を次から考えます。


NISAを予定通り終了した場合


3ヶ月で6000億円あった買付は当然激減するでしょう。

この国の人は金融リテラシーが他国と比べて低いと言われますが、非課税のメリットがなくなればライトユーザーが離れるのは自明の理です。

場合によっては、NISA終了と同時にこれらが一斉に売却される可能性もあります。


少し古いデータですが、東京証券取引所の最新の調査レポートによると、個人投資家の2017年の個人投資家の人数は約5100万人、株式保有比率は113兆円だそうです。

一番上の表はあくまで買付額であって保有額ではないので、ざっくり買付額の2割くらいは売っていると仮定します。
(口座数で比例計算するとNISAの保有残高は26兆円という買付額オーバーの変な値になるので採用しません)

そうすると、NISA口座の保有残高は現時点で、大体11兆6000億円くらいになります。

これは個人投資家の持っている株式の約一割に達します。

そして、Bloomberg掲載の記事によると、日銀のETF購入額が年間6兆円規模だと大きく取り上げてますが、この約倍額が一斉に売られる可能性があるわけです。

予測に次ぐ予測の元に論じましたが、11兆円近い売りをあえて好き好んで発生させるメリットがあるでしょうか。

私は金融庁や国はそんな選択肢は取れないと考えています。

NISAを継続した場合は?


逆にNISAを恒久化した場合、デメリットは発生するでしょうか。

真っ先に考えつくのは、財務省などが見込んでいるであろう売却益や配当金からの税収がなくなる事でしょうか。

ですが、そもそもNISAが一斉に売却されてしまえば、そんな事以前に、11兆円近い株式が吹っ飛んだ事によって、そこに払われるであろう配当金も何もなくなると思われます。

それに、預金から投資への流れに大いに水を差される形になると思われますので、例えば年金はこれからますます難しい舵取りを強いられるでしょうね。

NISA継続によるデメリットを、少なくとも私は思いつきません。

まとめ


今回は予測に基づいた論調で書かせてもらいましたが、少なくとも株式一斉売却のリスクや、老後資産形成の流れがつみたてNISAで出来る兆しがある以上、NISA恒久化は不可避と予想しています。

もしやめるならそれ以上に魅力的な制度を作らないと、資産形成という意味ではこの国はますます諸外国から置いてかれる形になるでしょう。

この記事が何かのお役に立てば幸いです。

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