政府与党の軽減税率議論に見る無理筋

ポイント還元?ナメてますか?

政府はロイターの記事によると、軽減税率の導入に伴いキャッシュレス決済に対しポイントを5%、期間限定で還元する方針を示しました。
喜んでいる方もいると思いますし、短期的には財布に優しいでしょう。
ただ、個人的には言いたいことがいっぱいあります。
今回はこの件を取り上げます。



消費税大嫌いな日本人

2019年10月に、このままいけば消費税は10%になります。
ただ、残念ながら日本人は長期的にものを考える能力に乏しく、消費税アップと同時にものすごい勢いで買い控えをしてきました。
もちろん大なり小なり世界中で同じ現象は起きるのですが、世界的に見ればたかだか10%前後の税率でギャーギャー言って政権を倒さんばかりの勢いでわめくのってこの国くらいではないかと推察します。

増税対策について

そんな状況なので政府としても何もしないわけにはいかないという事情があります。
何かしらの方法でテコ入れはしてくるかな、とは考えていました。
そのうちの例が軽減税率の導入、さらに幼児教育の無償化です。
軽減税率の対象品目については国税庁HPが詳しいです。
幼児教育の無償化は文部科学省HPにまとまっています。

ポイント還元概要

まだまだ政府の中でもまとまり切ってなさそうなので、上のロイターとの記事を元に簡単に言うと、以下の通りです。
  • キャッシュレス決済を行う事により、ポイントを還元する。
  • 対象は中小小売店に限定
中小企業庁によると、販売額に占める中小小売店の割合は実に7割に達するそうです。
また、小売店の総販売額は135兆円との事です。
この総販売額の中で、いわゆる商店街が占める割合は4割程度なので、ここからざっくりとこんな数字が出てきます。
  • 中小小売店の販売額:94.5兆円
  • 商店街での売上額:54兆円
規模感としてはどちらもまあまあな額になりそうです。
ここから、最新の議論で出てきた、5%のポイント還元をするとして、その規模感は以下の通りです。
  • 中小小売店分:4.7兆円
  • 商店街での売上分:2.7兆円
これを元に以後の考察をしてみましょう。


この額の規模感は?

時事通信社の報道はじめ各所で見れますが、2018年度の国家予算は97兆7128億円だったそうです。
これはすなわち中小小売店の売上額にほぼ匹敵する額です。
と言うことは、ポイントを5%還元するということは、国家予算を5%無条件に吐き出す事を意味します。
参議院の資料によると、2018年度の年金支給額は11兆円。社会保障費は32兆円だそうです。
こう言った状況の中、仮にポイントを全額予算で賄うとすれば、年金の3分の1から半分近くをポイントに還元する事になります。
そんな事できるのでしょうか。
私には到底そうは思えません。

特別会計は?

特別会計は国家予算のほぼ倍額と言われていますので、それさえあればいいじゃん、という論調も聞こえてきそうです。
特別会計は国家の非常事態など、また別の用途が決まってるものです。
言い方は悪いですが、単なる一時の景気刺激策に使っていいものではないはずです。

カード会社にやらせたら?

こちらのサイトによると、金融業界の業界規模は60兆円だそうです。
ちなみに、クレジットカード業界に限定するとだいたい2兆円とのこと。
金融業界からすれば、何が嬉しくて業界規模の1割近い金額を還元する必要があるのでしょうか。
業界全体が吹っ飛びますね。
クレジットカード業界にしたらもう論外としか言いようがありません。
実際には取扱高とか手数料が高いとか色々あるので、一概に問答無用で不可能、とは言いませんが、彼らが納得できるだけの論拠を政府は業界に示せるでしょうか。
何とも微妙な気がします。

消費税から還元したら?

国の歳入はこちらのサイトが綺麗にまとまってましたので確認してみると、消費税収は17兆程度だそうです。
ここから何兆出せばいいのでしょうか。
少なくとも全部を消費税から出したら、税収は3分の2近くまで減りますよね。
何より、増税分は教育費に使うみたいな話がありましたが、仮に消費税でポイント還元をしたら教育費なんて残るんでしょうか。
何を考えても、1%還元でもギリギリに見えるのに、5%だなんて、政府は一体何を考えているのでしょうか。

本音はキャッシュレス決済推進

おそらくこっちが建前ではなく本音なのでしょう。
今からやっておけば、東京五輪や大阪万博に間に合いますからね。
おおよそトライアンドエラーも繰り返せるから、本番でがっぽり儲けられる!とでも思っているのでしょう。
何度か書いてますが、キャッシュレス化に取り残される人のケア無くして、果たしてこの国は本当にいい方向に行くのでしょうか。
そんなお花畑なシナリオ、私は少なくとも信じることはできません。

キャッシュレス自体は悪くない

誤解なきように言っておくと、個人的にはキャッシュレスは便利だと考えてますし、広がってくれると嬉しいとも思います。
ただ、そこには国民的なコンセンサスが必要不可欠だと思いますし、ましてや消費増税の景気刺激策としてどさくさに紛れてやっていいものではありません。
国として、あえて制度の恩恵から排除される人を量産する事が無いように、願ってやみません。

まとめ

現時点ではどんな視点で考えても、今回のどさくさに紛れた景気刺激策と言う名のキャッシュレス化推進には賛成しかねますし、無理筋というほか無いと考えています。
この記事が何かのお役に立てば幸いです。


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